美男子ヤンキーは一途な犬だった
あの雨の日の出来事から
彼の姿はパッタリ見なくなった
少しの寂しさと
どこかでまた倒れてないといいなーと
毎日考えてしまう
あれから1週間
居ないとは思いつつも
あの路地裏に目を向けてしまう
『いない、か』
倒れられてても困るんだよ!
いないのはいい事!と頭を振る
考え事をしながら歩いていれば
人にぶつかってしまう
『あっ、すみません!』
咄嗟に謝り顔をあげれば
『え、えぇ!?ちょ、大丈夫!?』
少し顔が腫れて生傷多めの彼がいた
「痛え」
『いやだろうね!?なんで初日見た時より酷いの!?
リンチ!?痛そう…』
「色々あったんだよ」
『そ、そか…もう綺麗な顔大事にしてよー』
せっかくのイケメンが…
いや傷があってもカッコイイけども
思わず腫れた頬に手で触れてしまう
「っ…」
『わ!ごめん!』
「…ん、へーき」
なんだか今日は素直で調子が狂う
いつもの罵倒が1個もない
離した手を取られ
そのまま自分の頬に持ってかれる
「お前なら、触っていいよ」
『触るなっつったの誰だよ』
「俺」
『覚えてんじゃん』
なら、なんで突然いいなんて…
と思っていれば
「気に入ったから」
『は?』
「だから今日から俺の彼女な!」
『まてまてまて…
話が突然飛びすぎじゃないかな』
「飛んでねーよ」
『いやいやいや』
何を言い出すんだと思っていれば
真剣な表情で目を見てくる
「いいか?」
『はい?』
「俺がお前を気に入った」
『うん』
「だから今日から俺の彼女」
『うん待って』
「待たない」
気づいた時には頬に何かが触れた
『は』
してやったりな顔をする彼
頬に触れたのが彼の唇だと気付き
「ははっ 顔真っ赤」
みるみるうちに顔が熱くなるのがわかった
『はぁああああああ!?』