美男子ヤンキーは一途な犬だった
『ねぇ高倉くん』
「…」
『…斗真』
「ん?」
『最初から返事しろや』
「やだ」
『とりあえず、手離して欲しいな?』
「なんで?」
『なんでってそれは、ね?』
「わかんねえ」
どこ行くー?ゲーセン?
と呑気に私の手を引きながら話す
嫌なわけではない
元よりイケメン大好物な私からしたら
そりゃ嬉しい限りの事だけど
「なぁなぁ!あれ撮ろうぜ!」
瑠菜と撮りたい!と
指差すのはプリクラだった
斗真の幼さの残る笑った顔を見たら
考えるのが馬鹿らしくなり
とりあえず楽しんだ方がいいかと開き直った
『いいよ、撮ろ』
プリクラコーナーへと向かう
やっぱり放課後だと
カップルや女子集団ばかり
そしてもちろん私の隣にいる彼は
みんなの注目の的だ
「瑠菜、どれにする?俺わかんねー」
『絶対これ。これしか私盛れない』
「盛る…?胸の話か?」
『ちっげぇーよ…?今どこ見やがった?』
「大丈夫、俺が育てる」
『…今のは聞かなかったことにするね』
盛るのは顔の話。と言えば
じゃあ俺はなんでもいいのか!と聞かれる
「だって俺、カッコイイんだろ?」
『え?はい、そうですね』
「イケメンとか綺麗な顔とか言われたの
瑠菜が初めてだったから知らなかった」
いまなんと…?無自覚…?怖…
『その顔あるなら自覚した方がいいよ』
「モテたことなかったからなー」
本日2度目の驚き
この顔でモテたことない…?
ありえないでしょ
だって今も現在進行形で
女子たちが見てるんだよ?
「ま、今は瑠菜にだけモテればいいや」
卒倒しそうになった