【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉

 *

「わぁ、すごいね! これ全部ユリアが一人で作ったの?」

 彼は身体から雪を落として部屋に入ると、テーブルに並んだ料理に目を丸くした。

 期待どおりの反応に、わたしは鼻を高くする。

「もちろんよ、今日のためにおばあさまに習ってたくさん練習したんだから! 味は保証するわよ!」

 わたしがそう言うと、どういうわけか彼はぷはっと吹き出した。

「ははははっ! 確かに、去年君に初めて貰ったジャム、帰って開けてみたらすっかり固まってて、どうやって食べようかと思ったもんな!」
「そっ、それはもう言わない約束よ! あれからは一度も失敗してないわ!」
「はは、ごめんごめん。いやでも、あれだって味は良かったよ。それにこの前のパンもすごく美味しかった。ユリア、料理の才能あるよ」

 笑いをこらえながらそんなことを言う彼に、わたしは口を尖らせる。

「もう、そんなに笑いながら言われても嬉しくないわよ」
「ごめんって! ユリアがあんまり可愛いから、ついからかいたくなるんだよ」
「――ん、……もう」

 お互いの気持ちを知ってから一年以上が経ち、わかったこと。

 彼は思っていたより、いじわるだということ。でも、彼のそんなところも、たまらなく好き。
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