【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉

 ――ああ、わからないはずがない。彼の気持ちを理解できないはずがない。

 私だからこそ理解できる。私だけが、理解できる。彼の気持ちを、痛いほどに……。

「あなたに出会えたのは奇跡だと思っています。正直、僕は諦めていた。僕と同じ力を持つ人はいないんだと、諦めてしまっていた。けれど今僕はこうして、あなたを前にしている」

 ルイスの切なる眼差し。

 その訴えるような瞳に、私は気付いてしまった。ルイスが私を探していた理由に。彼が私に執着する、その訳に……。

「僕がウィリアム様に出会ったのは偶然でした。いいえ――僕は無意識のうちに同族を探していましたから、偶然と言ったら語弊があるかもしれません。ウィリアム様を初めてお見かけしたとき、確かに何らかの力を感じました。けれどそれはあまりに微弱で、しかも彼自身の力ではなかった。もうおわかりでしょう? それはあなたの力だったのです」

 それはきっと、私がウィリアムを愛すと死ぬ――その繋がりのことを指しているのだろう。

「けれど当時、僕はあなたの素性を知りませんでしたし、ウィリアム様に尋ねるわけにもいかなかった。僕がわかるのは、ウィリアム様から感じるあなたの気配だけ。まだ子供だった僕には、あなたを探す術がなかった。――けれど五年の月日が経過したある日のこと、幸運なことに僕はあなたを見つけたのです」

 ――うちの執事の情報によれば、確かルイスとウィリアムが出会ったのはウィリアムが七歳、ルイスが九歳のときだったはず。当時、私はまだ三歳。五年後でさえ八歳だ。外出すらほとんどしない年齢であるから、見つけられなかったのも無理はない。
< 131 / 194 >

この作品をシェア

pagetop