【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉
「アーサー様の十二歳の誕生日パーティーでのことでした。アーサー様と年の近い、国中の貴族のご子息、ご息女が集められたそのパーティーに、僕はウィリアム様の側仕えとして出席していました。あなたを見つけたのはそのときです。けれど遠目だったため、素性を知るまでは叶わなかった。せめて肖像画の一枚でもあれば探しやすかったのですが……」
ルイスはかなり苦労したのだろう。人との接触を避け、友人のひとりだって作らなかった私を見つけるのは、至難の業だったはず。
アーサー様の誕生日パーティーのときでさえ、私は開始直後に抜け出したのだ。
そんな短時間で私を見つけるほど、彼は私に執着している……それはきっと本当だ。
でも、だとしたら疑問が残る。ルイスが私の力に気付いていたというのなら、私とウィリアムの間の良くない因縁についても気付いているはず。それなのに、私とウィリアムを結婚させるというのはおかしいのではないか。
私がそう思案していると、ルイスは心を読んだようで……。
「あなたの考えはわかります。確かに、僕はあなたとウィリアム様の間に何か良からぬ縁があると気付いている。ですが、だからこそ僕はウィリアム様にあなたとの婚約を勧めたのです。あなたとウィリアム様の縁を完全に断ち切り……あの方のお命……延いては魂そのものを、お救いするために――」
「……?」
私は困惑する。どういう意味かわからずに……。