【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉

「アメリア様、あなたもお気付きなのではありませんか? あの方の魂は非常に不安定な状態です。お二人の縁はあまりに強く、けれどそれは決して好ましいものではない。このまま何もせず放っておいて、改善されることはまずないでしょう。――ですから」

 刹那――ルイスの眼差しが鋭くなる。
 射るように、どこか責めるように……私を見据える。

「僕はあなたがたの縁を完全に断ち切りたいと考えている。僕になら、それが可能です」
「――っ」

 ルイスのその言葉に――その真剣すぎる瞳に――私の心臓が大きく跳ねた。

 なぜならそれは、私が長きに渡り望んできたことだったから。彼との縁を断ち切り、彼の命を守る。それこそが私の悲願であるのだから。

 ああ、ルイスならそれが可能だと? だが、いったいどのような方法で……?

 私の問いに答えるように、ルイスはゆっくりとまばたきをする。そして言った。

「当然、いくつか条件がございますが」――と、試すように。私の想いを、推し量るように。

 ――私に彼の真意などわかるはずがない。その条件が何なのか、想像一つつきはしない。

 それでも一つだけ確かなこと。それはルイスの提案を受け入れる以外、選択肢はないのだということ。
 それにもはや私には、失うものは何もない。――私は、頷く。

 するとルイスは満足げに口角を上げた。
「覚悟はできているというわけですね」そう言って指を二本立てる。

「ウィリアム様をお救いするため、あなたにのんでもらわねばならない条件は二つ。――まず一つ目、ウィリアム様とあなたの繋がりを断ち切るそのときが来るまで、決して僕の命令に背かないこと」

 それは当然の条件だろう。何の問題もない。私は再び頷く。

「では二つ目。晴れてあなたがその呪縛から解放された(あかつき)には、僕と共に生きること。これから先、未来永劫(みらいえいごう)、共にその魂が尽き果てるまで」
「――っ」

 真剣な顔で私を見つめる漆黒の瞳。その色が、微かに揺らめく。
 それは多分――彼の深い孤独と、寂しさを秘めた色。
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