【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉
「誓ってください。全てを捨てて僕と共にここを去ることを」
「――ッ」
ルイスのその眼差しに――言葉に、私の思考は今にも停止しそうになる。
ルイスと共に生きる。その言葉の意味がわからないほど、馬鹿なつもりはない。
彼の瞳に映る、私への期待と不安。それは、とても人間らしい色をしていた。
「アメリア様……僕をどうか、受け入れてください」
切なげに揺れる彼の瞳。それがあまりに切なくて、私は答えられなかった。
――だってあまりにも突然で。それに千年経った今でさえ、私はエリオットのことを忘れられていないのだから。今聞かされた話以外、ルイスのことを何一つ知らないのだから。
確かにルイスの気持ちは理解できる。忘れたくても忘れられない記憶に苦しめられ、過去に縛られ、いつだって心の中は孤独で満たされている。
その辛さを、苦しみを、誰かと分かち合えたらどんなにいいか。――私だって何度もそう思った。
別の相手を見つけても、必ず訪れる死が再び私を孤独へといざなう。それに堪えられず、いつしか誰も愛することができなくなった。
そんな自分が嫌で、気付けば独りきりで過ごすようになった。
寂しかった。本当に寂しかった。涙さえ枯れるほどに。――ルイスもそうだったのかもしれない。きっとそうだったのだ。
けれど私はまだこの男の言葉を信用したわけではない。
確かに、ルイスが過去の記憶を持っていて、ウィリアムを助ける方法を知っているのは事実だろう。けれどアーサーは言っていたではないか。ルイスには気をつけろ、と。
――ああ、だけど。それでも……。
ここで私が頷けばウィリアムはきっと助かる。それが意味するものが、彼との永遠の別れだったとしても……その先の未来、二度と彼の傍にいられなくなろうとも……。