【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉


 それからしばらくの時が過ぎました。

 神々が天界に戻られてからというもの、争いで荒れ果てていた土地は、一人の王と聖女によって再び緑豊かな土地へと戻りました。聖女の不思議な力のおかげで、作物はよく実り、川は決して枯れることはありません。
 人々は王と聖女に感謝しながら、幸せに暮らしていました。

 けれどあるとき、王は病気になりました。聖女はその力の限りを尽くして王の病気を治そうとしましたが、彼女の力を持ってしても、それは叶いません。

 とうとう王は死にました。ソフィアは悲しみに暮れ、一年中泣き続けました。ソフィアは自分も王のもとへ行きたいと願いましたが、どうやっても死ぬことができませんでした。

 それを側で見ていた梟は、悲しげな瞳でソフィアに言います。お前の魂を解放してやろう、と。そして尋ねます。最後の望みは何だ、と。

 ソフィアは王の最後の言葉を思い出しました。

 王は言っていました。この国を、人々を、守ってほしい、と。
 
 ソフィアは王の願いだった国の繁栄をハデスに願い、ハデスはその望みを受け入れました。自身がつくりだしたソフィアの身体に込めた神の力、それを国を守る加護という形で解き放ち、国の繁栄を誓ったのです。

 力を失ったソフィアの身体は静かに眠りにつきました。人々は嘆き悲しみましたが、彼女が目覚めることは二度とありませんでした。

 けれど彼女が眠った後も、王とソフィアの願ったとおり、国は繁栄し続けたということです。
< 146 / 194 >

この作品をシェア

pagetop