【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉
「――というお話ですわ、アーサー様。……あら」
話を終えたヴァイオレットは、アーサーの反応をうかがおうと顔を覗き込む。――けれど。
「……ふふっ」
そこには、いつの間にやら眠ってしまったアーサーの姿。彼は気持ちよさそうに寝息をたてている。
「なんてお可愛らしい寝顔なのかしら」
ヴァイオレットは微笑んで、アーサーの銀の髪をさらりと撫でた。そしてその頬に、そっと唇を落とす。
アーサーを見つめる彼女の瞳は、深い慈愛に満ちていた。
「まだまだ夜は長いですわ。よくお休みになってくださいませ」
彼女はアーサーの耳元で愛しげに囁き、アーサーを起こすまいと、そっとベッドから下りた。
「――良い夢を」
そう言い残し、ヴァイオレットは部屋を後にした。