【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉

 ウィリアムの眼光が鋭くなる。その瞳に映るアーサーへの懐疑的(かいぎてき)な感情、それが一層色濃くなる。

 だから――アーサーはその視線に堪えられず、思わず目を逸らしてしまった。否――読みたくもないウィリアムの思考を、無意識のうちに読んでしまいそうになったからだ。

 けれどそんなアーサーの事情を知る由もないウィリアムは、アーサーが目を反らしたのは後ろめたい理由があるからだと思い込んでしまった。

「とんでもないことをしてくれたな、君は。前々から君の女遊びにはほとほと呆れていたが、今回ばかりは愛想が尽きた」

 ウィリアムは氷のように冷たい声で告げ、アーサーを軽蔑したように睨みつける。
 けれどアーサーには、その意味がわからない。

「何だ、お前はいったい何の話をしている」

 アーサーは問いかけるが、怒りに支配されたウィリアムにその言葉は届かなかった。

「しらばっくれるつもりか! 君のせいで彼女は声を失った! ルイスは彼女から直接伝えられたそうだ。彼女は川に飛び込むつもりであの場所に向かったと……カーラには謝っておいてほしいと言われたと! ――彼女は死ぬつもりだったのだ、君の軽率な行いのせいで!」
「――ッ⁉」

 思いもよらない内容に、アーサーの全身から一瞬で血の気が引く。

「君はこの国の王子だ。君を拒絶する女性は少ないだろう。けれど彼女は違う。俺は確かに彼女を愛してはいない。君はそれに気付いていて手を出したのだろう。だが、それは決して許されることではなかった。彼女には決して、手を触れてはならなかった!」
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