【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉
信じられなかった。信じたくなかった。アーサーがアメリアを辱めたなどと……。
苦悩するウィリアムに、ルイスは懇願するように告げる。
「ウィリアム様、私が――私がアメリア様を推薦しなければ、こんなことにはならなかったのです。アメリア様の声が失われ、アーサー様と仲違いされてしまわれたのは全て私の責任でございます」
「……ルイス」
「アメリア様は今とてもお心を痛めていらっしゃいます。昨日、あの方は確かに私に微笑んでくださった。けれどそのご様子は、以前とはまるで別物でした」
ルイスの漆黒の瞳が、切なげに揺れる。
「ウィリアム様はあの方をお愛しにはならないでしょう。それに、あの方もウィリアム様をお愛しにはならない。そういう契約でございましたよね。けれどそれでも、今あの方をお守りできるのは、ウィリアム様……あなたしかいないのです」
「……っ」
刹那――ウィリアムは確信した。
ルイスの心の奥に秘められたアメリアへの強い想いを。アメリアが川に落ちたとき、今までになく動揺していた、ルイスの様子を思い出すと共に――。
「……ルイス。お前は彼女を愛しているのだな」
「――ッ」
ウィリアムの確信に満ちた問いに、ルイスは顔を強張らせる。
「いつからだ?」
「…………」
「いいんだ。責めてる訳じゃない」
そう言ったウィリアムの眉間には深い皺が寄っていたが――それでも、主人に問われれば答えないわけにはいかない。――ルイスは呟く。
「十年前から……です」
「十年だと……⁉」
「……はい」
「それほど前から彼女を知っていたのか? では、彼女を婚約者に推した本当の理由は……」
その可能性に思い当たったウィリアムは、困惑げに顔を歪めた。