【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉
――さあ、君はどう出る……?
ウィリアムはアメリアの反応をじっとうかがっていた。お茶会でのアメリアの態度を思い出し、これからアメリアがどう出てくるか、それを興味津々に見つめていた。
一方アメリアは――アメリアもまたウィリアムの顔色を観察していた。
彼女にとってウィリアムの告白は当然予想外の出来事だったが、たとえこれが不測の事態であろうと、彼女は隙を見せるわけにはいかなかったからだ。
自分の予想の上を行くウィリアムの言動に――卑怯とも言える公での告白にある種の殺意を覚えようとも、決して表に出すことは許されなかった。
――ああ、まさかこれもルイスの入れ知恵なのかしら。それともこの人の独断……?
だがどんな理由であろうと、こんな公衆の面前でウィリアムを振るわけにはいかない。
何しろ相手は侯爵家である。つまり、今取り得る選択肢はただ一つ。
仕方なく、彼女はその頬を赤く染めあげた。まるで恥じらう乙女のごとく。
そして、告げた。
「わたくし――も、お慕い申し上げております、ウィリアム様」
正直に言えば、もっと無難な言葉はいくらでもあった。「恥ずかしい」とうやむやにしてしまうこともできた。
けれどアメリアは他の全ての選択肢を一瞬のうちに切り捨て、ウィリアムに応えたのだ。
――再び、二人の間に沈黙が流れる。
その沈黙の中、ウィリアムは今まで感じたことのないほどの興奮を感じていた。そんな自分自身に、戸惑いを隠せなかった。
悪女と名高いアメリアのことだから、皆の面前であろうと容赦ない態度を取るだろうと考えていたのに。それがまさか、嫌っているはずの自分を慕っているとのたまうアメリアの潔さに、猜疑心を感じるとともに心底感服した。
ここまで来たら、引く道はない――。
ウィリアムは決断し、アメリアの前に進み出る。
そしてその場に跪くと、アメリアの右手にそっと口づけた。
ウィリアムは愛しげにアメリアを見つめる。
「アメリア嬢、私と結婚してください」
その言葉にふわりと微笑む、アメリア。
「わたくしでよろしければ――喜んで」