【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉

「実はわたし、パーラー・メイドなの。容姿には自信があるわ。それにこの二人は最高ランクの従僕(ファースト・フットマン)なのよ。旦那様のお気に入りで、従者(ヴァレット)の代わりをさせられることもあるんだから」
「へぇ、そりゃすげェな! 若いのに結構なことじゃねェか!」
「でしょう? でもこの二人、仕事はできるのにプライベートはすごーくシャイなのよ。わたしがこの街のことを教えてって言っても、全然誘ってくれないの。失礼しちゃうと思わない?」

 アメリアがこう言えば、エドワードとブライアンは硬直する。
 ――いったい何を言い出すんだ。と、そんな感情が透けて見えるようだ。

 するとそんな二人の様子が可笑しかったのか、ジョンは笑い声を上げた。

「はっはっは! 酒と女は紳士の嗜みだぜ、兄ちゃん! どうだ、俺が指南してやろうか!」
「――えっ、――はっ?」
「いや、俺たちは……」
「遠慮するな! 昔は俺もちったあモテたんだ!」

 ジョンは「ほら立て! あっちで飲むぞ! 姉ちゃんもな!」と言って、エドワードとブライアンの背中を遠慮なくバシバシと叩く。

「い――痛っ、痛いって!」
「いきなり失礼だぞ!」
「おっ、なんだぁ。ちゃんと声出るじゃねェか! 男はそうじゃねェとな!」
「なっ……」
「ロ……ローザ! この人、話通じない……!」

 二人はアメリアに助けを求めるが、アメリアはニコリと微笑むばかり。
 結局二人は抵抗むなしく、ジョンの仲間の待つテーブルへと引っ張られていった。
< 59 / 194 >

この作品をシェア

pagetop