妖狐の末裔の狐森くんは、嬉しいと狐の耳が出てくる
メッセージ
父親の親、つまり祖父が大手家具メーカーの経営者で両親はそこで働いている。
オフィスは充実しており、仮眠室という名の寝室がある。
両親はそこで寝泊まりしており、しばらく帰宅していない。
裕福じゃないと言えば嘘になるかもしれない。
たけど、裕福だからとチヤホヤされたくないし自慢もしたくない。
だって、お金で本当の友達も愛も変えやしないと皆がわかっているから。
家にいると、とても孤独を感じる。
だから好きな人とその時間をなくすために、放課後は狐森と喫茶店に入っておしゃべりしたりして夕飯も済ましてくることが多かった。
だだっ広いリビングテーブルの端に1人。
家事代行スタッフが作った食事を食べる。
美味しいかと聞かれたら、いつもの喫茶店のナポリタンのほうがずっと美味しい。
【琥太郎、今電話できる?】
孤独に耐えられず、狐森の存在の大きさに気づいた西村はそうメッセージを送った。
意地になっていた。
自分から予定があるとか言って狐森から離れたくせに、離れられないのは西村の方だった。
西村「ごちそうさまでした」
西村は自室のベットに寝転がって狐森とのメッセージ画面を見つめる。
西村(既読つかない。
なにしてるんだろう。
こんな時間だしご飯食べてるのかも。
既読…つけてよ)