妖狐の末裔の狐森くんは、嬉しいと狐の耳が出てくる
magic
つまらない授業。
前から2番目の窓側の席。
西村は窓の外をふと見た。
屋上に髪を靡かせた男子生徒が一人、柵に肘を置いて遠くを眺めている。
陽に当たって、彼のオレンジ色の髪が光る。
【狐森琥太郎】
高校1年生。
目頭より少し高い位置にある目尻。
切長で目頭が深く、冷たい目をしている。
唇は少し膨らみがあり、中央と口角が上がっている。
笑うと見える八重歯。
そして特徴的なオレンジ髪。
西村すぐに彼の元へ行きたかった。
静まり返った午後の教室に黒板にチョークの当たる音が響く。
西村「あの、」
なんでだろう、いつもならそんな勇気はないはずなのに。
西村が話し出そうとしたその時、強く風が吹き込んできて、端に寄せてあったレースがふんわりと西村を包んだ。
西村(魔法?乙女すぎるか。
だけど、確かにあの瞬間に魔法にかかったみたいだった)
西村は席から立ち上がり、走って教室を出る。
先生『西村?どこ行くんだ!』
西村が席から離れたとき、後押しをするかのようにまた風が吹き込んでレースが浮いた。