妖狐の末裔の狐森くんは、嬉しいと狐の耳が出てくる

そのままではいられない


狐森「文化祭が終わったら、僕とデートしてください」

その言葉に目を見開いて、狐森を見つめる。

西村は知っている。

"デート"

狐森にとってこの言葉の意味も重さを。


西村「デートを私と?」

狐森「はい」


西村は瞬きすれば涙が溢れ出しそうだった。

西村「うん、琥太郎とデートしたいです。」

狐森の尻尾はいつの間にかなくなっていて、代わりに耳が現れた。


それに笑顔を見せる西村。

目尻を下げたと同時に傷がある頬と逆の頬に涙が流れた。


狐森は西村の頬に手を当てて涙を拭った。


西村「ふふ。笑 嬉し涙」

狐森「わかってますよ」

狐森は西村の頬に手を当てたまま。


西村「琥太郎の耳はなんで?」

狐森「嬉しいから…ですよ」

頬に当てていた手を離しそうになったとき、西村は狐森の手に自分の手を重ねた。

西村「なにが、嬉しいの?」
< 30 / 47 >

この作品をシェア

pagetop