妖狐の末裔の狐森くんは、嬉しいと狐の耳が出てくる

きつね


西村は渡り廊下を走って、階段を登る。

錆びついた屋上の扉もなんの躊躇もなく開いた。

校舎内がこんなにも暗かったのか、と思わされるほどに日光が当たる。


その音に振り返った狐森。

西村と目があって、オレンジの髪から同じ色の狐の耳が出てきた。



【狐森琥太郎】

妖狐の末裔で感情によって、耳や尻尾が出現する。

それは普段、感情が出ない表情の代わりをしているように。


西村「いぇい、喜んでる。琥太郎」

スキップしながら狐森のそばへ。


嬉しい時や喜ぶときなど、喜怒哀楽の喜と楽は耳が表す。

狐の割にわかりやすい。


狐森は耳を撫でながら

狐森「別に先輩が来たからってわけじゃないです」

そう言う。


西村「ふーん」

つまらない表情。


狐森「でも、先輩が来るなんて珍しいですね」

西村「魔法にかかったの」

そう言って西村は杖を振るように、手をくるくるとさせた。

孤森「そうですか」


このクールな反応。

これが、西村が魔法にかかった理由かも知れない。
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