妖狐の末裔の狐森くんは、嬉しいと狐の耳が出てくる

シュークリーム



○1年前


西村がまだ、高校1年生だったとき。


女子3人が集まっていた教室の窓際へ近寄って行って、話しかけたことがあった。

西村「ねぇ、シュークリームのシューってフランス語でキャベツって意味なんだって。
なんさ、すご…」

『西村さんってフランスとかイタリアとか?
ヨーロッパのスイーツ食べてる絵が浮かぶ』

西村「え?」

『私たちなんてコンビニで150円のシュークリームだよ。笑』

『やっぱり、格が違うね。笑』


西村【違う、これは昨日テレビでやってただけで。私だってコンビニのシュークリーム大好きだよ】


そう言いたかったけど言えなかった。


確かに話の輪の中には自分がいる。

すぐそこにいるのに

『自慢?』

『西村さんって嫌な感じだよね』

『見下してるよ、私たちを』

そんなことを言われているように感じた。


彼女たちはそんな話をしてないのに。


だけど、西村がその輪から出ても誰も気づくこともない。


それから、彼女はお淑やかで物静かな人間を演じると決めた。
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