妖狐の末裔の狐森くんは、嬉しいと狐の耳が出てくる
フード
だけど、狐森に出会ってこの世界は空気が澄んだんだ。
正確には狐森が入学してきてから。
○数ヶ月前
入学してきた新一年生が校庭に集まっているのを、渡り廊下から眺める西村。
その中に特徴的なオレンジ髪の人がいた。
西村「あれ…琥太郎?」
次の休み時間。
西村は1年生の教室でオレンジ髪の生徒を探した。
次の教室。次の教室へと。
男子『もしかして、西村先輩ですか?』
男子『やばっ!あの連絡先交換してくれませんか?』
学年別で名札の色が違うため、彼らが1年生だとわかる。
なぜか相手は西村を知っているが、西村はその人達を知らない。
西村「いや、あのごめん。そういうのは」
男子『あの、これ俺のIDなんでいつでも連絡ください』
男子『俺も』
彼らが、差し出した紙を受け取ろうとした時。
「振られてんのに、ダッサ」
後ろからそんな声が聞こえて、肩に重さがかかった。
横を見たらフードを被った狐森がいた。
狐森は西村の肩に肘を置いて男子らを笑った。
男子『は?』
怖い顔を向けられても
狐森「行きましょう」
狐森は表情ひとつ変えずに西村の手をとって、歩き出す。
西村(え、どこ行くの?というか知ってたの?
私がこの学校にいたこと。琥太郎も。)