妖狐の末裔の狐森くんは、嬉しいと狐の耳が出てくる
出会い
狐森に腕を引かれてついたのは外にある非常階段の踊り場。
西村「琥太郎…?」
西村は狐森のフードに手を伸ばして、フードを下ろした。
オレンジの髪から狐の耳が。
西村「私に会えて…嬉しい?」
西村は彼の頭を撫でてそう問う。
狐森「別に琥珀…先輩に会えたからじゃないです」
西村「ふふ。笑」
○11年前
西村が6歳。
小学校に入学する前の話。
一人っ子同士だった二人は、公園で会うたびに兄弟のように仲良く遊んだ。
西村の話し相手は狐森だけだった。
ブランコに二人並んで座った。
西村「昨日のテレビでね、板チョコの凸凹は作る時に出来るものなんだって。」
狐森「ふーん」
西村「でもさ、板チョコ食べる時ってあの凸凹でわっちゃうよね」
孤森「うん」
狐森が好きだったシーソーに乗れるのは、西村が来たときだけだ。
西村「シーソー好きだよね!」
狐森「うん」
無表情ながらも狐の耳が顔を出す。
西村「琥太郎くんってなんで耳がある時とない時があるの?」
狐森「嬉しかったり楽しかったりしたら出る
あと、悲しかったり怒ったりしたら尻尾が出る」
このとき、西村はその尻尾を見ることなどないと思っていた。