あの道を、貴方と。
「お、終わったか?」
本丸の探索を終えて外に出るとすでに新がいた。
(わたしが出るところ、どうやって把握したの・・・?)
「うん。間に合った?」
「あぁ、正直、あまりすぎてるぐらいだな。とりあえず、夜が明けるまではここでお互いの情報のすり合わせといこうぜ」
「分かった。で、南側には何があったの?」
「特に収穫はなし。ほとんどが林だった。建物は茶亭しかなかった。あ、後でっかい池があったけどそれ以外は・・・って感じ。そっちは?」
「こっちもそんな感じ。ちゃんとした建物は本丸、ここなんだけど。ここに入ってとりあえず入れる部屋に全部入って見取り図作れる程度には探索したよ。紙、ある?」
「あぁ、これでいいか?」
「ありがと。で、本丸探索して思ったんだけど・・・」
わたしは新にさっき感じた違和感を話す。
「ふーん、謀反を起こしているような感じがしない、か」
「うん。まぁ、わたしの勘違いかもしれないけど」
「・・・いや、結構いい線行ってんじゃないか?」
「そう?あ、これ聞きたいな、って思ってたけど南側に武器庫ってあった?」
「いや、一応林の中もみてみたがそれらしい建物はなかった」
「・・・・・・なら、ここは違うかも」
「なんで・・・あ、そっか」
「うん、謀反を起こすなら武器を保管しているはずでしょ。でもなかったってことは特に謀反を起こす予定はない、ってことになるんじゃない?」
「だよなぁ」
「でも、綱吉さんがそこら辺の間違いをするのかな、って・・・」
ほんの数時間しか会ってないけどあの人はそこら辺には鋭い方だったし・・・
「とりあえず、今日の収穫はこれぐらいか。帰ったら朝餉を食べながら主人様に送る報告書作らねぇと」
「あ、また作るの?それに、ご飯食べながらの読唇術、ご飯が美味しくなくなるから嫌なんだけど」
「当たり前だろ。今の情報をできるだけすぐ主人様に届けて指示を仰がねぇと。飯が美味しく感じないのは諦めろ。馴ればちゃんと美味く感じる」
「うそぉ」
「うそじゃねぇよ。じゃ、帰るか」
新はそう言って来た道を走り出す。まだ帰る道筋がわからないわたしは新を見失ったら一巻の終わりなので慌ててついていく。
(そういえば、わたし達の睡眠時間はあるのかな・・・?)
純粋なこの疑問の答えは三十五分二十七秒後に判明した。答えは『ない』だった・・・