あの道を、貴方と。

什弍

次の日からは本当に怒涛の日々だった。日の光が出ている間は[芭蕉]と[曾良]として。日が沈んだ夜は[新]と[千夜]として。

正直めちゃくちゃ寝不足!睡眠時間が一時間切ってる!そしてなんでそれで新はあんなにケロッとしてるの?

わたし、結構フラフラだけど⁉︎そして、調査の方は正直、結構難航していた。

あの後等躬さん達の目を盗んでお昼に侵入したり、足を伸ばして三春城に行った。(まぁ、行ったのは新だけど。わたしは迷うし、道も知らないから)

で、その結果確かに謀反を起こそうとしているっぽいけど、藩主が中心になってやっているのではないみたいで。

日中の捜査や[芭蕉]や[曾良]としての情報収集でどうやらそれぞれの家老が手を組んで藩主を殺して、トップになってからの謀反を企てているじゃないか、ってことまでは分かった。けど・・・

「あぁ!証拠がない!」

「いくら言質をとったところで、紙の証拠がないとどうしようもないからな」

新が綱吉さんからの手紙をひらひらと振る。

さっきわたしが解読したらそこには[藩主が関わっていないならば首謀だけ処分させろ。藩主に証拠を渡せ]と書いてあった。

つまり、わたし達の目的は証拠の奪取ってことになったんだけど。

「あぁ〜あの狸親父達!悪知恵だけは十分に育って・・・!」

そう。たぬきおや・・・ごほんごほん。両藩の家老がやり取りした手紙が一向に見つからないのだ。

そのせいでこの任務の終わりの兆しが全く見えてこない。今、めっちゃ焦ってる。

元々、家老の家に忍び込むこと自体が結構めんどくさい。なんと、自分で雇った兵士を警護に付けていた。それも結構手練。

それに、一方の証拠が見つかっても相手側がとぼける可能性があるから両方から証拠を見つけないといけない。いい感じの作戦を考えている間にも予定日程は一日一日と減っていく。そして今日は出発予定日まで後四日に迫っていた。(あ、もう十二時すぎてるから後三日か)

「新、どうする?このまま考えてても時間の無駄じゃない?」

「分かってる。いや、実は、一個作戦はあるんだが・・・」

「あるの⁉︎なら早く教えてよ!」
「いや、それが・・・」

「とりあえず教えて!可能かどうかはわたしが判断するから」

「・・・分かったよ」

そうやって渋々教えてくれた新の作戦は、二本松藩の家老宅にわたし、三春藩の家老宅に新が同時に侵入して証拠を奪う、というもの。

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