あの道を、貴方と。

什参

とうとう来ました!今日が、作戦当日です・・・!

わたしは今、二本松藩の家老のお宅が見える近くの木の上に登っている。今、ここには新はいない。別行動するのが久しぶりで違和感がやばい。慣れって怖いな・・・

(うーん、見張りは・・・十、三、いや、五人かな?一人一人別で襲ってきたら楽だけど、全員一気に襲ってきたらちょっとキツイかな・・・そう考えると出来るだけ集中力が切れるタイミングを狙った方がいいよね・・・)

わたしは一回そこで移動。

さっき登っていた木から転々と移動して一通り全体像を把握する。

(うーん、外の見張りが多いけど、中の気配は少ないから・・・)

頭の中で作戦が組み立てられていく。

(『猫手』は・・・手紙を探すときに不便だから却下。出来るだけ身軽に行動したから『鉤縄』と『忍び熊手』はここにおいていこっか・・・後は新とわたし、どっちが早く証拠を手に入れられるかでそれからの行動が変わるかな・・・)

ふとスマホを見るとそろそろ手紙を書かないとまずいぐらいの時間だった。

(やばっ、わたし、まだ暗号どうしようか決めてなかった・・・!どうしようどうしよう・・・今までと同じ感じでやれば・・・でも、奪われることを考えるとすぐに解けちゃうレベルのは迂闊に書けないし・・・・・・・・・あ)

ふと引っかかったことがあって今までの暗号を解いた時のことを思い出す。

(・・・!これなら、絶対に、バレないはず・・・!)

わたしは急いで頭の中で暗号を組み立てて紙に書き殴っていく。もちろん、数字は難しい方のだ。

「・・・よし、できた」

最後に間違いがないか確認してから一回登っていた木から降りて手紙を運んでくれる忍者のところまで行く。

ちなみにこの忍者は熊本県の加藤清正に仕えていた忍者『関やぶり』の一族だって。徳川将軍さんたち、どんだけ忍者を抱え込んでいるのよ!

「では、よろしくお願いします」

「御意。任務の成功を祈ります」

彼はそう言って立ち上がり、どこかへ走って行った。新の元に向かったのだろう。

後わたしが出来ることは時間になるまで待つだけ。

(・・・決行時間まであと二時間ぐらいか・・・今のうちにご飯食べとこ)

わたしは背負い袋の中に入っていたおにぎりを食べながら決行時間まで作戦の確認をしたり、忍器の最終確認をしたりして過ごした。

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