あの道を、貴方と。

カキン!カキン!
着いた。そこには四人の忍者らしき人物とその人たちに必死に応戦する新がいた。

(ちょ、四人!多くても二人だと思ってた!ってか、四対一で戦えてるね)

まぁ、わたしもあれぐらいはできるけど、と心の中で呟きながらとりあえず・・・と帯の後ろから『吹き筒』を取り出した。

これは一見したらただの笛だけど、笛の穴と同じ所に穴を開けた紙を内側に入れていくことで中の紙を回転させたら穴が塞がって一瞬で『吹き針術』に使う筒に早変わり、ってこと。

香を入れていたのとは反対の手甲から『吹き針術』に使う『三稜針』を取り出す。普通の針と違って切った時の断面が三角形になる特別な針だ。

(・・・ふぅ・・・)

大きく深呼吸してから筒の中に『三稜針』を入れて口に含む。狙うは戦闘中の四人の敵のうち、一番新から離れている敵。

『吹き針術』は一回気付かれたら使うことのできない手だから一発本番。一発で敵を戦闘不能にしないといけない。

狙うは相手の首筋。この針の先には即効性の気絶薬が塗られている。何から作られたか知らない。だってこれも涼ちゃんのお薬バッグの中に入ってたやつだもん。毒は塗らないけどもしものためにーって塗っておいてよかったぁ・・・

(・・・・・・五、四、三、二、一)

フッ!

わたしが吹き出した針は狙い通りに相手の首筋をおそう。

「グッ・・・!」

「なっ、林!」

(あ、あの人林っていう人なんだ)

そんな考察はさておき、とにかくわたしの針に当たった林はすぐに針を抜いたが即効性だからか、すぐに倒れた。

(おぉ〜感動!)

「新!大丈夫?」

「千夜!あぁ、こっちが当たりだったみたいだ」

当たり、というのは忍者がいた方のこと。作戦会議の時に[恐らくだが謀反を起こそうとした方に何人か手練がいると思う]と言われていた。いや、だからわかってたけどこれは多すぎ!ってかどこで忍者なんて雇ってきたの⁉︎

「仲間か・・・」

リーダーと思われる人が目線をわたしに向ける。

「新、この人たち、何流かわかる?」

「あぁ、多分だが芥川流の奴だ」

「あ、芥川流ねぇ・・・なんでここにいるのよ・・・」

「知るわけないだろ?」

「いや、わかってる」

芥川流は今の長野県あたりに分布していた忍者一族だ。なんかこの時代にきてからこの類の名前、多くない?気のせい?

「・・・新とやらが言うように私たちは芥川流の者だ。名は菊」

リーダーっぽい人がちゃんと名前を名乗ってくれる。それに続いて残りの二人もなのってくれる。

「私は泉」

「おう、だ」

(んん〜‼︎おうってこの雰囲気から行くと桜で桜だよね⁉︎やっぱりそっちなのね⁉︎もうわたし、突っ込まないよ⁉︎)

「俺は新」

「あ、わたしは、千夜」

「ふむ・・・新は伊賀者ですよね?千夜は何流なのでしょう・・・?」

泉が値踏みをするようにジロジロとわたしを見る。なんかいたたまれなくて目を逸らす。

「泉、そうすぐ相手を詮索する癖、やめろって言ってただろ?」

「あ、そうだった」

「桜、小言は後にしてさっさとこいつら倒すぞ」

「「了解」」

< 43 / 54 >

この作品をシェア

pagetop