あの道を、貴方と。
最初互角だった戦いが、だんだん劣勢になっていく。そりゃ当たり前。
あっちは三人に対しこっちは二人。そのうち一人はさっきまで四人を一気に相手して普段よりも本気を出せない状況。
「クソ、千夜!大丈夫か⁉︎」
「ん!大丈夫!そっちは⁉︎」
「もう、これからのことを考えると危ない・・・」
「桜、止めをさせ。泉、一気に畳み掛けるぞ」
菊の言葉に一気に三人がコンビネーション抜群の動きでわたしたちを襲う。
「・・・・・・ふふ」
でも、思わずわたしは笑ってしまった。わたしの笑い声にギョッとしたように新がわたしを見る。
「おい!ついに頭壊れたか⁉︎」
「んーん。大丈夫だよーただ、やっと終わるって思って。やったね、わたしたちの勝ちだよ」
「勝ちって・・・」
「ぐわっ!」
「がっ!あ」
「くっ・・・っ」
彼らの間合いにわたしたちが入った瞬間、彼らが急に倒れた。状況把握が全くできていない新が急に倒れた彼らに目を白黒する。
「は⁉︎何が・・・」
「あぁ、新止まって止まって、そこらへんにもあるから」
「・・・!『撒菱』⁉︎いつの間に・・・⁉︎」
「戦っている間にね?この闇の中だからバレないと思って」
『撒菱』。そう。あれ。忍者といえばの、床とかに撒いて相手を倒すやつ。戦闘中に少しづつ戦いの邪魔にならないよう、でも最後にしっかりと踏んでくれるような場所に撒いておいたのだ。
「・・・おい、これ、下手したら俺も怪我してたんじゃ・・・?」
「それはない、ちゃんと計算しておいたから」
「計算って・・・もういい、無事確保できたからな。とりあえず暴れないように・・・」
「あ、大丈夫、さっき言ってた気絶薬、これにも塗ってるから。針と同じぐらい塗ってるから」
「・・・俺はもう突っ込まない。こんなあっけなく乱闘が終わるなんて予想してなかったぞ・・・!」
「まぁ、嬉しい誤算、ってことで、ね?」
「・・・ハァ、とりあえず全員寝てる間にさっさと手紙届けるぞ。集合は家な」
「はーい」
とりあえず面のため手足だけ縛ってからそれぞれ手紙を交換してそれぞれのお城に忍びこんで手紙を無事藩主のところへ届けることができた。
あの手紙をどうするかはわたしたちの考えることではない。
そうやって、わたしたちの任務は、達成された。