キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!


「誰か!誰かいませんか!!」



サーシャはほんのわずかな望みをかけて、口を塞ぎつつ大声を上げてやみくもに走った。

この森で、この国の誰かに出会うことだけが微かな希望だ。



死の森はすでに隣国、カルラ国の領地なのだ。


滅んだ国、カルラ国なんて言われているが、サーシャはこの死の森の近くで人影を何度も見かけたことがあった。きっとカルラ国はまだ続いている。


(カルラ国の人は、この毒の森での生き方を知ってる!会えたら助けてもらえる、かも!)


サーシャは必死で走って、足が木で切れようが、喉が毒気に侵されて痛もうが叫んで人を求めた。


「誰か、誰か!?誰か助けてください!!ゴホッゴホゴホ!」


サーシャの喉がヒューヒュー奇怪な音を立て始め、咳が喉を犯した。息が苦しくなってきたサーシャの背後からガサリとこの葉が擦れる大きな音がした。



(誰かいた!!)

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