キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
なかなか建設的に話をすすめようとする王様がズイズイ、ごっつい顔を寄せてくるのでサーシャは引いた。こんな個性的な格好で歩くくらいだ。紙を食べる人間に興味があってもおかしくない。
「紙っていうのはレシピのことなんです」
「料理の方法を書いたレシピ?」
「そうです。無味無臭ですけど、レシピを書いた紙だけは食べられて、ちょっとだけお腹が膨れます。そうやってモグモグしたレシピに書いてある料理を、魔法で出すことができるんです」
サーシャはついつい美味しそうなレシピがあると食べてしまう。その癖のせいで、うっかり婚約者に現場を見られるというミスを犯した。
サーシャが話し終わると、王様は長い足を組んで椅子の背もたれにぐっともたれてしまった。腕を組んで顎元に手も当て始める。考え中ですと身体が表現していた。顔は虚無だけど。
言われなくても、言いたいことはわかる。
お前って化け物?
だろう。