キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
何でもぺろっと言ってしまうサーシャだが、さすがに口を噤んだ。もう死刑にされたくない。サーシャはくちばしマスクの王様に差し出された手を取った。
好意の食事を拒否して、手を振り払って散歩まで拒否したら、さすがに心の広い王様でも追放死刑を言い渡すかもしれない。
でもそのぶ厚い手の平には、なぜかまた親近感がわいた。
(王様ってこんな顔だけど、実は怖くないのかも)
王様は王族らしいエスコートなるものをしてくれた。王様は大層足が長かったが、歩幅を合わせてゆっくり歩いてくれる優しさを見せてくれたのだ。
紙を食べる異常な娘に触れることを拒否せず、きちんと手を引いてくれる。顔は虚無だけど。
「ここ、庭な」