キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
早口に熱っぽく語る王様はくちばしの先、つまり視線をサーシャに突き刺す。意外と熱烈にサーシャの能力を評価してくれている。
人からこんなに熱望されては悪い気はしない。純粋に嬉しかった。フルフェイスでなかったらもっと嬉しかったのに。
「無から食べ物を生み出せるお前の魔法を、騎士団で活かせ」
(活かしませんか、ではなく、活かせときた。すでに命令な俺様王様)
「これは恋人ではなく、国王からの依頼だ。だからこの形で依頼する」
(恋人って何?)
意味不明な単語が飛び出す偉そうな王様にサーシャはちょっぴり引いたが、口を噤んで我慢する。王様の反感は買いたくない。素直過ぎる口をがんばって黙らせる。
もうサーシャにはカルラ国以外に行くところはない。レオナルドもルテも、団長もあったか優しいので、騎士団に協力するのは全く問題なかった。戦闘はできないが、ご飯を出すのはできる。
「サーシャは紙と魔力しか食べないんだな」
「そうみたいです。今まで魔法を隠してきたので知らなかったのですが、魔力が食べられるって大発見でした!」