キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
気配に振り向くと、そこには待ちに待ったカルラ国民、ではなく、サーシャの身長より3倍は大きな「蜘蛛」がいた。真っ黒の身体からデカくて鋭いノコギリ足が8本生えていて、なんせデカい。
(え、えー誰か誰かとは言ったけど!き、君には会いたくなかったー!!)
サーシャは一瞬そのバカでかい蜘蛛と睨み合ってから、なかったことにして振り返ってまた前へ走った。ありえないあんな生き物。
「キャ、キャアアーー!!!」
サーシャはなかったことにしたかったが、やはりそうはしてもらえず。大蜘蛛はカサカサカサと長い足で器用にサーシャを追いかけてくる。マジでありえない。
「ゴッホゴホゴホおぁい!マジで死ぬ!」
喉はヒューヒュー音を立てて咳は出て、背後からは大蜘蛛の追いかけっこだ。死刑マジで厳しい。サーシャが全速力で走っていると、前からもガサガサと大きな音がした。
(や、誰か助けて!)