キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
サーシャは次にあの大蜘蛛に襲われたら、パンではなく鉄を降らすべきだと学んだ。大蜘蛛に対抗するための鉄砲を作っているというのに、鉄砲工場は大蜘蛛の大好物で引き寄せてしまう。皮肉である。
鉄砲工場の上空真上から見るとよくわかるが、大蜘蛛がうじゃうじゃ工場を取り囲んでいる。
「20匹はいそうですよ!気持ち悪い!」
工場から大蜘蛛を引きはがすために黒ローブの騎士団団員たち数十名がすでに戦闘中だ。
現状を空から確認したレオナルドが、ふと背中にくっつくサーシャを青い目で優しく見る。ぶ厚い手が近づいてきて、サーシャが着ている騎士団ローブのフードを頭に被らせた。
「サーシャ、頭隠せ」
「なんでですか?」
「俺が頭上の空に現れたらフードを被って頭を守る。これ、騎士団の決まりな。忘れたら死ぬから」
「また怖い単語来たんですけど!」
「怖い?頼りになるの間違いだろ?覚えとけよサーシャ、守った頭の位置は地面から1メートル以下だ」
自信満々に笑ったレオナルドが、サーシャがフードを被ったのを確認してフードの上からぽんぽんと頭を撫でた。それから急に、信じられないくらい大きな声を出した。
「ローブ!!」