キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
風魔法の効果でさらに音量を上げたレオナルドの声が響き渡ると、戦闘中だった騎士団員たちが即座にローブのフードを被ってその場に腹ばいになった。レオナルドが前に突き出した長い腕の先でぎゅっと拳を握る。
「勝手に俺の国に入るな」
レオナルドの目が冷たく細くなると、風魔法でつくられた見えない刃が大蜘蛛たちを全て真っ二つにした。まさに瞬殺だった。
騎士団団員たちが束になって悪戦苦闘していた大蜘蛛を一蹴だ。サーシャはあまりに圧倒的なレオナルドの力に唖然としてしまった。
(大蜘蛛相手だからホッとしたけど、あの見えない刃が人間に向いたらどうなるんだろう……)
固そうな大蜘蛛を真っ二つだなんて、人間なんて相当柔らかいのではないだろうか。
「すごい……」
ローブの掛け声で頭を守れという決まりは、仲間を間違って傷つけないためにあるのだとわかった。1メートル以上の高さに頭があったら首チョンパしちゃいますよという意味だ。
戦闘終了に立ち上がった団員たちが上空に浮いたままのレオナルドに向かって手を振っていた。
「副団長ー!あざっすー!」
「死ぬかと思いました!ありがとうございましたー!」
「おー気をつけろよ」