キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
戦闘中も背中にサーシャを乗せて登場した副団長だ。
すっかりお食事係のサーシャに夢中であることは、すでに騎士団では通説になってきた。副団長は女好きとしても有名なために、サーシャにいつ飽きるのかという賭け事まで発生していた。
食堂にて、自分の処遇について堂々と話し合いをされるサーシャは、ルテが酒を飲む横で静かに座っている。
ルテがくれたレシピ紙をもしゅもしゅ食べて、ルテの酒のつまみを出すのが目下お仕事である。
言い合いを続けるレオナルドと団長の声を遠くに聞いて、サーシャはルテが団長のお気に入りであると初めて知った。
「団長ってルテさんのこと好きなんですか?」
口元のえっちなホクロを歪ませて、ルテがサーシャの頭を細くて白い手でぐりぐり撫でる。
「好かれてる自信はあるわ。でも、何かの関係には至ってないの」
ルテの余裕綽々なお返事に、サーシャはそんな大人の女になりたいと切に願った。かっこいい。
ルテは静かに口に酒を運んでから、テーブルに肘をつく。えっちなホクロがついた顎をうっとり肘の上に乗せた。
「私は恋多き女に見られがちだけど、片思い5年目よ?」