キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
サーシャが祈ると、なぜかその場にぼたぼたバラバラと丸い「パン」が大量に降って来た。
雨のようにぼたぼたと大蜘蛛の上にもパンが降っている。パンの香ばしい匂いとパンが身体にぶつかる違和感に蜘蛛の気が一時は逸れた。
(今のうちに逃げる!!パンあげるから!私を食べないで!)
サーシャができたらパンを食べて見逃して欲しいと願いながら走り去る。一応足止めパンにはなったよう大蜘蛛は追って来ない。
「ゴッホゴホゴホ!!も、でも死」
だが、サーシャの走る勢いは衰えていき、足から力が抜けていく。もう、一歩、もう一歩行けば何かあるかもと藁をもすがる思いでサーシャは歩く。倒れたら終わり、人生が終了のお知らせだ。
サーシャの行く先の木の葉がガサリと揺れた。
(また大蜘蛛だよね……終わった)
サーシャの頭についに絶望がよぎったが、木の葉の間から現れたのは一応人間っぽいシルエットだった。
(人!いや、鳥人間?!)