キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
サーシャが両膝を床について祈ると、サーシャが見たことも食べたこともないカルラスープが一食分ずつ皿に乗って20食分一気に出現した。食堂の長テーブルの上にスープがずらっと並ぶと、スープから上がる穀物の香りで食堂が満たされた。
金色の透き通ったスープには金色のぷちぷちした穀類がたっぷり入っていた。
「うわあーお前……本当にすごいな」
一口スープを食べた団長が、また隻眼を塞いで天を仰いでしまった。ルテもカルラスープを一口食べると、微笑みを抑えきれないようだった。
カルラスープを前に感慨深いと反応する二人に、サーシャは疑問が湧く。
「このスープ、何か特別なんですか?」
「実はこのスープ、今はもう作れないのよ。死の森が迫って来たせいで材料が取れなくなってしまったの」
「そ、そうなんですか?!」
カルラスープのメイン食材であるぷちぷち穀類はすでにどこにもなく、カルラスープ自体が絶滅した幻のスープだった。
(これがどれほどの神業か、やっぱりサーシャにはわかってないわよね……)