キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
団長がサーシャの頭をぐりぐり撫でまわすと、サーシャは屈託なく嬉しそうに笑っていた。無垢なサーシャを見ていたルテは、椅子に座り直して紙にがりがりと知見を書き留めていく。
ルテは騎士団の紅一点癒し手でありながら、魔法の研究者でもある。
(レシピさえあれば、無から有をつくり、さらに自分が見たこともなく、理解していないものまでつくりだせる。これはご飯魔法なんて単純なものではないわ……)
「うおぉお!ほんっとにカルラスープだ!」
「俺もう死ぬまで食べられないと思ってたー!」
「「「サーシャさん、あざっす!!」」」
「こちらこそ、いっぱい食べてもらってあざっす!」
団長が他の団員達を食堂に呼ぶと、カルラスープを見て次々と感激の声が鳴り響いた。団員達とキャッキャ喜んでいるサーシャの潜在能力について、ルテは畏怖すら覚え始めていた。
(サーシャの魔法は、レシピを書いた人間が詳細にイメージするものを、完全に再現する能力。
無二の再現魔法だわ)