キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
サーシャは力の入らない足で前に踏み出て、彼の黒いローブの端を掴んだ。
涙が潤んで霞む薄紅色の瞳を持ち上げて鳥人間を見つめる。
死にかけているくせに薄紅色の瞳の中の赤味が深くなった。強く生きたいと願う意志が灯った熱い瞳が綺麗だった。鳥人間の胸がトクンと鳴く。
(あ、1回目)
「こんなところで死んだら」
サーシャの頭がぐるぐる回って意識が朦朧として、助けてと言いたかったのに、もう何を言っているのかわからなかった。ただ死にたくない想いが知らずに口をついていた。
「化け物に生まれた意味、わからない……」