キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!


涙声で震えながら呟いたサーシャは全身の力が抜けて意識が飛び、膝から崩れ落ちた。だが、地面に打ち付けられるはずだった細い身体を、鳥人間のがっしりした長い腕が受け止めた。


「化け物に生まれた意味……か。そんなの俺が聞きたい」


鳥人間はローブの中から丸い鳥のくちばしのついたガッチリしたマスクを取り出した。鳥人間がつけているものと同様の形だ。


「死の森にいるなら、くちばしマスクは常識だっつの」


鳥人間は気を失ったサーシャにくちばしマスクを装着させてやる。マスクをつけて無事鳥人間に進化したサーシャを肩に担いだ男は、スッと、ぶ厚い手の平を前に差し向けた。


男の前にはサーシャを追っていた大蜘蛛が数を増やしてひしめき合っていた。


「邪魔」


サーシャを担いだ鳥人間が差し向けた手をぐっと握り締めると、大蜘蛛たちが一瞬で、真っ二つに割れた。


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