キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
サーシャの隣に座った王様はじっと虚無の丸い黒い目でサーシャを見てくる。慣れてはきたが、あまりに無表情の仮面はやはり不気味ではある。声色も不機嫌に聞こえた。
王様は長い腕を組んでつーんとくちばしマスクでそっぽ向いてしまった。星空が降る夜のベンチに並んで座る二人の間に無言が流れる。
(え、これ私が機嫌とるの?王様だもんね……えーと)
王様はサーシャのため息の理由を知りたいらしいが、レオさんにフラれてもキスし続けるの苦しいです。なんて王様に言えるものでもない。
サーシャは線を引かれるのが嫌と言った王様に答えにくいだろう問いを振ってみることにした。きっと王様だって線を引くはずだ。
「じゃあ、先に王様の悩みを教えてください。教えてくれたら私も教えます」