キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
王様に手を引かれて、サーシャはレオナルドのつくった見えない風の道を歩き始める。空を歩くという不思議な体験にふわふわした気持ちになっていた。
「カルラ国が危機的状況なのは知ってるだろ?」
ふわふわの中で真面目な話題が出てきて、サーシャは薄紅色の瞳を丸くして驚いた。一般国民サーシャに王様はお悩みを教えてくれるようだ。
「今度の特別任務がもし失敗して……この国の毒気が消えなかったら。
戦争をすることになる」
王様はスタスタ空を歩き、サーシャも手を引かれて綺麗な星空の中を歩き続ける。だが、地上に広がる真っ暗な死の森のように話題は暗かった。
「戦争?どこかから狙われてるんですか?」
「いや、カルラ国が侵略を『仕掛ける側』だ」
「カルラ国から戦争を始めるってこと?」
王様は瞬く星を背景に、くちばしを縦に振った。