キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
他国を蹂躙して火の海の上に浮かぶレオナルドを想像すると、恐ろしいほど美しく似合っているとすら思わされるのがレオナルドの美貌の怖いところだ。
「レオナルドは幼い頃、あまりの強さに異端者だと化け物だと恐れられてきた。
だが、毒気が生まれ、国勢が変わり、国が窮地に追い込まれた頃から評価は変わった。
レオナルドという人間兵器は
戦争の切り札だ。
国の危機に驚異的な力を持って居合わせたレオナルドは、他国を蹂躙するために生まれてきたようにさえ思える」
サーシャは王様のぶ厚い手を思わずぎゅっと握ってしまった。王様はサーシャと手を繋いだまま、ぐるぐるとどこまで行っても美しい星空の中を彷徨っていた。
「レオナルドがいなければ、俺らはこの国と共に静かに消える運命だった。
だけど、レオナルドがいるから他国を侵略するなんていう発想も生まれてしまう」
マスクの向こうでくぐもっている王様の低い声が、サーシャには不安げに響いた。
「化け物のように強いレオナルドが生まれた意味は、何だと……俺はよく考える。
それが長年の俺の悩み」