キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!

そこで話を止めてしまった王様は、優しい人だ。


国を守る責務を持っていても、レオナルドに他国を蹂躙するように命令するのは忍びないと伝わってきた。


「生まれた意味、ですか」


化け物が生まれた意味、という聞いたことのある単語にサーシャは胸が詰まった。


サーシャも異端者と呼ばれ、化け物が生まれた意味は自分で決めると啖呵を切って死刑を選んだ身だ。


「私も故郷で異端者で、化け物って呼ばれて……生まれた意味を探しています」


サーシャは王様の手を引いて足を止めると、隣を歩く王様の足も止まった。


「でもレオさんは私よりもずっと重苦しいものを背負っているんですね」


王様の話は重くて、ただの村娘のサーシャが何か言えるようなことではなかった。


カルラ国に来て日が浅く、戦争なんてするな!と軽々しく言える立場でもない。生きるか死ぬかの状況なら戦いを選ぶのが生き物の性とも言える。


だけど、一つだけ言いたかった。


「でも、私……レオさんが優しい人だって知ってます」

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