キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
「でもまあ、お前が連れて来たならその女、何かあるんだろうな」
女をとっかえひっかえするレオナルドだが、仲間と他者の線引きが明確な男だ。仲間が生きるためなら、目の前で命乞いする女を見捨てる選択ができる非情さがあると団長は知っていた。
だが、レオナルドはその女を連れ帰った。仲間の役に立つと判断したからだ。
「団長、呼んだかしら?」
「ああ、ルテ」
団長に呼び出されてゆったり現れたのは、黒いフードを被り病的に白い肌をした長身美女だ。口元にえっちなホクロが一つついているところがさらに美女を引き立たせる。
「レオナルドが女拾って来たから、診てやってくれ」
「レオが?全く、どこにいても女好きの困った悪ガキなのね」
「俺は『女好き』じゃない。女が俺を放っておかないだけ」
「黙りなさい、女の敵」
「別に敵じゃないって。女が勝手に惚れて、勝手に去るのが通過儀礼らしいから」
「もう黙って」
口元にえっちなホクロをつけた美女ルテの黒の瞳が、レオナルドへ厳しく向いた。カルラ国では「レオ様へ恋は通過儀礼」とまで言われている。
「レオ、その子を救護テントに寝かせてちょうだい」
「ウース」
救護用テントと呼ばれる布を張った一角にルテが歩いて行く。レオナルドはサーシャを軽々担いで、救護用テントの中に運んだ。レオナルドがサーシャを寝かせると、すぐにルテが傍に膝をついて体の状態を観察する。
「毒気中毒ね。これくらいならすぐ治るわ」