キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
ルテがサーシャの胸に両掌を押し当てた。手の平が光って、癒しの魔法が発動する。ルテの背後で、治療を見守っていたレオナルドと団長はそろって腹の音をグーグー響かせた。
「これ、騎士団腹ペコで全滅するんじゃない?団長」
「補給用の馬車を吹っ飛ばしたのはお前だけどな」
焚火の周りに集まる黒ローブ集団のあらゆるところで腹の虫の大合唱が響いているのが、騎士団の現状だ。
「あれは大蜘蛛からみんなを守ったからだろ」
「そう、あれは仕方なかった……納得してるさ」
先の行軍中、騎士団は大量発生の大蜘蛛に襲われた。その際に、仲間を守るためにレオナルドが放った大技魔法が補給用馬車もまとめて屠ってしまったのだ。
仲間が死ぬか、食料が死ぬかの二択だった。
「だけど!俺は陣営に王都まで盾魔法を使ってるから、余計に腹減るのわかってるだろ!副団長さんよぉ!酒飲ませろぉ!」