キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
レオナルドの片眉が高く上がって、サーシャを誘う。恥ずかしくてハイの一言も言えないサーシャに、レオナルドが考えてくれた簡単な合図だ。
「副団長、それって」
近くで待機中の団員が、勇気を持って副団長の意図を指摘しようとした。だが、ギンと青い瞳の鋭いひと睨みで黙らされた。また首チョンパの刑に処される危機感を煽られる。
レオナルドの告白を断る気もないサーシャは、くちばしコッツンくらいならできそうな気がした。
「どうぞ」
レオナルドがワクワクした光を青い瞳に灯す。普段高い位置にあるくちばしだが、レオナルドがわざわざ腰を曲げてサーシャの前にくちばしを差し出した。
席を外していたルテが戻り、レオナルドがくちばしを差し出す様子を見て、ハッと気づいた。
「あ、サーシャだめ!」
ルテの声はサーシャに届かず、サーシャは意を決して、自分のくちばしをレオナルドのくちばしにコツンとぶつけた。
その瞬間、いないもののように見守っていた団員たちから弾けるような拍手がわき上がった。
「あーやっちゃった!もう!レオの奴、絶対説明してないでしょ!」