キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
くちばしへの信仰がやたらと強いカルラ国の習慣に、サーシャは目を白黒させるばかりだ。文化が違うとこんなことが起こるものなのか。放心したサーシャは白目剥いた。
「ヒューヒュー!」
「お熱いですねお二人ー!!」
「ちょっと、レオ!サーシャはそんな習慣を知らないのに、わざと誘ったわね!」
盛り上がる団員たちの真ん中で、悦りに悦っているレオナルドの元にルテが直談判にやってきた。子作りのハードワードに固まったサーシャはレオナルドの腕の中でゆったり姫抱っこされたままだ。
「サーシャと俺は正式に婚約した。くちばしキスはサーシャからだ。騎士団員全員が目撃者。誰にも文句言わせない」
「この悪ガキ」
ルテが唇を噛んで言うとレオナルドは完全な比率で造形された青い瞳を細めて悠然と笑った。
「好きな女独り占めするのに、手段選ぶ奴がいるかよ」
「サーシャの気持ちがあるでしょ!」
「サーシャは俺のことが好きで仕方ない。俺はサーシャにベタ惚れ。何も問題なし。じゃあ、サーシャのお食事キッス行って来るから」
ルテがギリギリ歯ぎしりしていると、一旦背を向けたはずのレオナルドが再び振り返った。
「朝まで二人でいたいから邪魔しに来るなよ?」
「10分したら行くから」
「えールテのえっちー」
ケタケタ笑ったレオナルドは勘違い彼氏を卒業し、あっという間にカルラ国的、正式な婚約者に上り詰めた。