キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
副団長と魔法のレシピ
大波乱の実践訓練を終えて騎士団が王都に帰ると、団長からすぐに特別任務の決行日が告げられた。
バタバタ忙しく用意をしているうちに、出発はもう明日である。大きな任務の決行を前にサーシャはカルラン様の祭壇を訪ねていた。
王様にこの場所を教えてもらってから、サーシャはできる限りお参りするようにしていたのだ。
「カルラン様、みんなを守ってください」
ほかほかいい香りのカルラスープを食べきれないほどお供えして、祭壇の前でサーシャは両手を組み合わせて祈っていた。お食事係のサーシャにできるのは祈るのみ。そんな時に、祈る先があるのは助かる。
「追放死刑にされて、私は一人ぼっちになりました。でもここに温かく受け入れてもらって……感謝してもしきれません」
祈りでは、心の内をさらけ出せる。
「カルラ国は私の大事な居場所です。
この国に安全が戻りますように。どうか、この毒気が消えて、騎士団のみんなが無事に帰って」
サーシャは遠慮せずに全部の願いを口にする。神頼りに遠慮は無用だ。
「どうか、レオさんが他国を侵略するなんてことに、なりませんように」