キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
村娘と竜巻
サーシャは傷ついたレオナルドを背に守って立ち上がった。ぷるぷる震える両こぶしを握りしめる。カルランは面白そうに黒目を細めて、大きな翼の手で己のくちばしを撫でた。
「なんじゃ、お主もやるのか?まあ、たまには運動もいいかの」
「私、一生懸命お祈りして、カルラスープもいっぱいお供えして、たくさんお参りもして、カルラン様のこと敬ってたんですよ!!」
「お、もしかしてお主、王都で」
カルランがパッと丸い黒目だけの瞳を見開いて何かに気づいたが、サーシャの怒りは止まらなかった。
「別に神獣様は何もしてくれなくてもかまわないですけど!わざわざ危害与える必要はないですよね!!」
「サーシャ、お前何する気」
ぐったりしているレオナルドだが、サーシャの周りを渦巻くものすごい魔力に銀色睫毛がぱちくりして風を起こす。
「神獣様に縋りたいくらい切実だった私の祈りを返してください!信じてたのに!」
「王城の祭壇で我に供え物をしたのは」
「私、私の好きな人を傷つける人は絶対許さないです!」