キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
物心ついたときからまるで手足のように使えるのがあたり前だった魔法が消えた。混乱して動転し、細かく震えるサーシャをレオナルドが抱き締めた。団長とルテが心配そうに抱き合う二人を見つめた。
四人だけになった食堂で、団長が冷静にレオナルドに問うた。
「サーシャの魔法が使えなくなった原因に心当たりがあるんだな、レオ」
団長の的確な問いに、サーシャを抱き締めたレオナルドは珍しくため息をついてしまった。原因に心当たりがあり過ぎた。レオナルドは消沈して顔色が悪く、今すぐ倒れそうなサーシャを横抱きに抱き上げる。
「カルラン様はサーシャを気に入っていた。サーシャの魔法もだ」
常ならば宝石のように輝くはずの青い瞳がくすんで、サーシャを抱き上げた腕に力がこもった。
「だけど俺がサーシャを渡さなかった。怒りをかって……魔法だけ奪われたのかもしれない」