キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!
王様とバードキッス
愛を誓いあった短すぎる夜が明けると、レオナルドは休む間もなかった。
国を出ることを選んだ国民を騎士団と共に慎重に護衛して、バラバラに他国へと逃がす作戦を早急に開始したからだ。
くちばしマスクを装備したサーシャは何の役にも立たないが、レオナルドにくっついて死の森の端まで一般国民を見送りに来ていた。
サーシャが追放死刑に処された場所からも、何人もの国民が旅立っていく。
みんな他国にツテなどない。だがそれでも生きる希望を持って、踏み出す。その勇気にサーシャは敬意を払いたかった。国を去る決意をした妊婦の女性と、サーシャは握手した。
「外では魔法が使えることは内緒にしてくださいね。意地悪されちゃいますから」
「はい、肝に銘じておきます。どうか、どうか……祖国を捨てる不名誉をお許しください」